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ドットエイト机上研究所

がんのステージについて

私はステージ4のがん患者(原発は直腸がん、転移先はリンパ・リンパ節・肝臓)です。
2022年の6月にがんが発覚した時には、すでにステージ4でした。
永久的ストーマを造設するために入院はしたのですが、がん治療については更新時点の2024年3月まで、検査を含め1日も入院しておりません。手術(外科治療)を受けるのであれば入院することもあるでしょうが、ステージ4であっても入院して治療を受けなければならない、という訳ではないのです。

この記事では、私が現在進行形で経験している「がんのステージ4」とはどのような状態なのか、紹介したいと思います。

ステージとは

がんの進行度を示す指標に、国際対がん連合(UICC)が定める「病期(ステージ)」があります。
「ステージ4」とは、癌が原発巣から他の臓器へ転移している状態を指します。

一般的にがんは、原発巣で状態が進行してから、他臓器へ転移するそうですので、ステージ4を宣告された時点で癌が進行しているリスクが高いのですが、
複数の臓器へがんが転移していれば「ステージ4」に分類されますので、「ステージ4」と、いわゆる「末期」というのは、じつは必ずしもイコールではないのです。

ステージごとのがんの特徴

がんのステージは0~4まで、5段階存在します。
進行度によって分類されていますので、一般論としてはステージが高くなるほどがんは悪化していると考えられます。

  • ステージ0
    • がん細胞が上皮内にとどまっており、リンパ節への転移(原発層から隣の臓器や組織に広がりそこで増殖を始めること)なし
  • ステージ1
    • がん細胞が筋肉層にとどまっており、リンパ節への転移なし
  • ステージ2
    • がん細胞が湿潤(原発層から隣の臓器や組織に広がっていくこと。転移と異なり増殖は始まっていない)しているが、リンパ節への転移なし
    • 湿潤は広がっていないが、リンパ節への転移あり
  • ステージ3
    • がん細胞が湿潤し、リンパ節への転移あり
  • ステージ4
    • 原発層から他臓器へがんが転移している

「リンパ節の状態」と、「がんが広がる[湿潤]と増殖を始める[転移]」の組み合わせで、ステージが決まります。

がんの末期とは?

  • 標準治療の観点から、有効性を期待できる治療法がほとんど存在しない状態
  • 治療をすることで患者の心身に対するリスクが増大する状態

この2つの状態いずれかの状態を、末期と呼ぶそうです。
がんの他臓器への転移がないステージ4以外のステージでも、末期状態というのが考えられるそうです。

ステージ4の基準は「がん転移の有無」だけです。
高いステージほど状態は悪化しており、治療は困難となるのは事実ですが、有用な治療法が存在しており患者が治療を受けられる状態であれば、それは「末期」ではありません。

原発と転移について

がん細胞が最初に発生した場所を「原発巣」、原発巣からがんが移っていった先を「転移巣」といいます。私の場合、がんが最初に発生した場所=原発巣が直腸で、がんが移っていった先=転移巣は肝臓です。
がんの転移は、リンパ液を介して転移するものと、血液を介して転移するものに分かれます。私の場合はリンパ液を介して転移しているようで、転移先にリンパ・リンパ節が入ってきます。

同じ肝臓のがんでも、直腸から変化したがんは直腸の細胞の特徴を持ち、肝臓の細胞から変化したがんは肝臓の細胞の特徴を持つようです。病気の進み方や、効果のある薬も違うようです。
私の場合、肝臓のがんは直腸がんから転移していますので、直腸がんの治療を行うことで効果が期待される、ということになります。
複数の臓器にがんが発見された場合、原発巣がどこなのかを診断することが、治療方針を決めるうえでとても重要になるということです。

私の経験と現状について

25年ほど前、今の私と同じような年齢で、がんにより私の母親はなくなっています。また、母の兄弟も同じような年齢でなくなっています。
がんが発覚してからは入退院を繰り返しておりましたので、入院先の病院などを含めがん患者の方と接する機会は多かった方だと思うのですが、その当時の私の「ステージ4」に対する認識は「もう治る可能性は低い、末期の状態」でした。
当時は現在と比べて治療法も限られていたことから、ステージ4に対して末期のイメージを持ってしまうのは、仕方のない状況だった気がします。昔のがんについて見聞きしている方ほど、ステージ4に対する絶望的印象が強いのではないかと思います。

そんな私が、2022年に「ステージ4のがん」と聞いた瞬間に考えたことは

  • 末期
  • 即入院
  • 治療はじめると、副作用のために入院患者としての日常生活も苦しく大変
  • 退院でいない可能性もある
  • 余命何ヶ月?

というものでした。
実際には既にご紹介の通り、がん治療のために入院したことは1日もななく、検査や治療はすべて通院で受けております。

「ステージ4」と聞いて「末期」と絶望してしまうのではなく、がんに対する正しい情報が一般的になることを願っております。