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ドットエイト机上研究所

フードトラックの給排水タンク

フードトラックでは、給排水タンクの容量により許可される「提供品目数」と「調理工程」が変わります。

一緒に給湯設備についても検討が必要な地域があったりするなど、以前は自治体による差が大きかったのですが、2021年6月の改正食品衛生法施行により、提供したい商品数や調理工程から
「40リットル程度(以下40L)」「80リットル程度(以下80L)」「200リットル程度(以下200L)」
の3種類を基準に考えれば良いと整理されました。

タンクの容量は「小さい方のタンクを基準に考える」

フードトラックでは通常、給排水タンクは同サイズのものを用意しますが、例えば「給水タンク40L・排水タンク80L」のような設備を準備する場合は、小さい方のタンクの容量を基準に考えます。
この場合、小さいタンクは給水タンク40Lですので、40Lタンクとして判断します。

まれに、給水40L・排水40L、合計で80Lなので80Lの基準では?
と考える人がいますが、これは間違いです。
給水40L、排水40Lですので、この場合の基準は40Lです。
合計ではなく、それぞれのタンクの容量で考えてください。

容量で「品目数」と「調理工程」が同時に変わる

タンクの容量に関する考え方が難しくなってしまうのは、品目数と調理工程の数を同時に考えなければいけないことが原因です。ここでは、例として、コーヒー牛乳を販売する場合を考えましょう。

品目数は「コーヒー牛乳」だけなので、「1品目」です。

調理工程については、提供方法により変わります。
あらかじめコーヒー牛乳なっている商品を仕入れて販売する場合、調理工程は「コーヒー牛乳を入れる」だけですので「1工程」です。
少しこだわったコーヒー牛乳を販売する場合、調理工程は「コーヒーを入れる」「コーヒーとミルクを混ぜる」の「2工程」と考えます。
同じ「コーヒー牛乳を売る」という行為であっても、仕入れ方というか作り方によって、調理工程は変わるのです。

続いて、給排水タンクを基準に考えていきましょう。
給排水それぞれ40Lのタンクを用意する場合、「1品目」かつ「1工程」のみの販売が許可されます。

コーヒー牛乳になっている商品を仕入れる場合、「1品目」で「1工程」のみですので、販売することが可能ですが、こだわったコーヒー牛乳を提供する場合、「1品目」ですが「2工程」ですので40Lタンクでは許可はおりず、販売できないのです。

保健所が、フードトラックでの販売許可を申請する際に、「売りたい商品」と同時に「調理工程」の提供を求めるのは、以上のような理由があるからなのです。
保健所の窓口で「うどんを売りたい」「コーヒー牛乳を売りたい」などと繰り返し伝えたとしても、販売許可が下りることは絶対にありません。
必ず売りたい商品数=品目数と、その調理工程を整理して、紙などに整理してから窓口に相談に行ってください。

セット販売するなら80L以上のタンクが必要なのは確かですが…

ここまで、コーヒー牛乳を売る場合を考えてきましたが、食べ物と飲み物をセット販売する場合ドリンクセットなので「1品目」とはなりません。食べ物で1品目、飲み物で1品目、合計2品目と考える必要があります。

40Lタンクでは1品目1工程しか許可されませんので、飲み物なら飲み物専門のフードトラックにしなければならないのです。
80Lタンクでは2工程が許可され、200Lタンクでは店舗など近い複数工程が許可されます。

ところで、ここまで「コーヒー牛乳を仕入れる」と単純化して説明してきましたが、実際には紙パックから容器にコーヒー牛乳を注ぐような「ドリンクのとりわけ」をどう考えるのかということについて、保健所に確認することが必要です。

また、「から揚げを揚げる」ということを考える場合、
カット済みの鶏肉を仕入れて、味のついた粉を混ぜて、揚げる
ことと
カットして味と粉がついている鶏肉を仕入れて、揚げる
場合では、工程が変わります。

ドリンクのとりわけの場合はどう考えるのか
同じからあげでも、揚げるだけならどう考えて、仕込んでから揚げる場合はどう考えるのか、
など、同じ商品を販売する場合でも調理工程は変わる場合があり、具体的には保健所で判断してもらうしかありません。

単純に『「から揚げ」と「飲み物」を売るなら80LでOK』と判断できないことに、注意してください。
40Lタンクなら1品目1工程の専門店として考えれば良いですし、
余計なことで迷いたくなければ「給排水各200Lのタンクを用意すればよい」のですが、
80Lタンクは考え方が結構難しいので、注意しましょう。

タンクの接続は考えない

以前は、容量20Lのタンクをホースなどで複数接続する方法も多かったのですが、
例えば給水であれば「連続して基準値の容量を使用できること(40Lを基準にするなら、蛇口から水を出すだけでほかの操作をせずに連続して40Lの水を出せることが必要であり、途中タンクに触って切り替え作業を行なったり、タンクを傾けたりすることで合計40Lの水が出せるような方法は認められない)」
という考え方が基本になっています。
また、接続部分からの水漏れ防止策や、接続部分の衛生確保方法についても細かく確認されるようになったため、20Lのタンクを複数接続して容量を確保する方法は実質的にNGとなったと考えましょう。
「以前は大丈夫だった」「他の人はこれで許可を取っている」と審査時に強く申し出ても、検査官の心証を悪くするだけで、ゴネ得は絶対に起きません。

ちなみに、40Lより小さいタンクにするとどうなるの?

車を使って商品を売る = フードトラックではありません。
例として、たこ焼き販売車を考えましょう。

たこ焼きは、露店営業で売ることができます。
露店営業は、自動車での営業(キッチンカー・フードトラック)のような設備は必須ではありませんが、設備を車に備え付けてフードトラックのような車を準備しても問題ありません。
見た目は、クレープ売っている車も、たこ焼き売っている車もあまり変わりませんが、
許可的には「自動車での営業」ではなく「露店営業」の可能性も考えられるのです。

そのため、露店営業としてテントのかわりに車を用意し、
給水設備として20Lタンクを2つ用意し、
 (露店営業の場合、合計40L用意出来ればタンクが2つに分かれてもOK)
シンクに排水タンクかバケツなど、40Lの容器を別途用意し、
ほか、露店営業の許可に必要な設備を車に固定して、
設備充実の豪華な?動きやすい?露店営業車を作る、ということも可能なのです。
許可を取る基準以上に良い設備とすることついて、保健所は問題視することはありませんからね。

車を使う=フードトラックと決めつける必要はありませんので、柔軟に考えてみましょう。
テントでも良いのに、なぜわざわざ露店営業車を準備するのか?
毎日の営業準備や片付けが楽、お客様の印象としてテントでの露店営業よりも良く見える、などのメリットがあったりしますからね。