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ドットエイト机上研究所

PowerPointやExcelでフチなし印刷用データを作成する場合の注意点

事務所などに掲示するポスターや飲食店のメニューなどの印刷用データはAdobe IllustratorやAdobe InDesignなどのソフトでデータ製作する場合が多いのですが、データを自分で準備する場合、Word、Excel、PowerPointなどのMicrosoft Office製品を使いますよね。
フチなし印刷用のデータを製作する場合、特にExcelやPowerPointで注意するべきことを紹介します。

Word・Excelのフチなし印刷用のデータ製作では「余白を0に」

まず、基本的な製作手順を紹介します。
フチなし印刷用のデータを製作するためには、最初に用紙の設定と余白の設定が必要です。

Wordでは[レイアウト]タブの「ページ設定」、Excelでは[ページ レイアウト]タブの「ページ設定」にある「サイズ」をクリックし、用紙サイズを選択します。

A2やA1サイズなどの大きなポスターを制作する場合、「その他の用紙サイズ」を選び数値を入力(A2サイズであれば幅420mm×高さ594mmを入力)しているかもしれませんが、「A3」または「A4」サイズでデータを製作し、Adobe PDF形式保存して、PDFを拡大印刷しても良いと思います。

大判印刷可能なインクジェットプリンターで印刷する場合、原寸サイズの高精度なデータを準備しても、小型インクジェットプリンターのような高画質の印刷ができないため、PDFデータを拡大印刷しても印刷品質はあまり変わりません。一方、データ入稿するような高精度高画質の印刷を製作する場合は印刷コストもそこそこかかりますので、データ製作はプロに依頼しますよね。

用紙サイズを設定後に、続けて「余白」を設定します。
「余白」をクリックし「ユーザー設定の余白(A)…」をクリック後、[余白]タブをクリックします。

Wordであれば上・右・下・左・とじしろの値を、Excelであれば上・右・下・左・ヘッダー・フッターの値を0にします。
Wordでは、同じ画面で印刷の向きを指定できるので指定しましょう。
Excelの場合、「ページ中央」のチェック欄チェックするのも忘れないでください。

Excelの場合、さらに「印刷の向き」をクリックして向きを指定してください。

Excelは印刷用データの製作には向きません

Excelには大昔から、用紙サイズを正しく設定のうえで印刷プレビューで細かく調整したり図形のサイズをプロパティなどで指定しても、印刷結果が微妙に異なる「仕様」 という名の不具合 が存在します。

【図形を挿入後、図形上で右クリックして「図形の書式設定(O)…」を選択し、プロパティ部分で「セルに合わせて移動やサイズを変更しない(D)」に設定すると調整できる】
などと紹介するサイトもありますが、そもそも画面上のピクセル単位の結果を印刷時のミリメートル/インチサイズに変換する処理の部分の仕様が理由で発生する不具合ですので、余白を0にしたりサイズをどれだけ細かく調整したとしても、mm単位の調整結果は印刷データに正しく変換されませんし、フチなしデータの製作は無理と言っても言いすぎではありません。

繰り返しますが、Excelで画面と印刷が一致しないのは仕様ですので、背景色アリ(白以外)のデータをExcelで製作するのはやめましょう。

筆者はかつてMicrosoft MVPだった時期に、Microsoftの中からExcelの画面と印刷に関する仕様について「内容を把握しているものの、製品の性質上、改善の優先度は他の要望に対して低い」といった趣旨の話を聞きました。印刷用データ(DTP)製作は、WordやPowerPoint、Publisherで行うのがメーカー想定ですので、mm単位といいますかピクセル単位の精密さを希望する作業は、Excel以外のソフトで行いましょう。

PowerPointでは「用紙サイズ」の手動設定が必須

PowerPointには余白の設定はありませんので、印刷の向きと用紙サイズを設定するだけで良いのですが、この際に注意が必要です。

[デザイン]タブの「スライドのサイズ」をクリック後、「ユーザー設定のスライドのサイズ(C)…」をクリックし、用紙サイズを選択します。

「印刷の向き」欄の「スライド」でスライドの方向を選び、次に「スライドのサイズ指定(S):」をするのですが、この際「A3 297×420 mm」や「A4 297×210 mm」を選んでも、幅と高さの値が用紙サイズと異なっているんです。
下図の例では「A4 297×210 mm」を選びましたが、幅(W):は「19.05 cm」(=190.5 mm)ですし、高さ(H):は「27.517 cm」(=275.17 mm)です。

このように、PowerPointでは「スライドのサイズ指定(S):」で用紙サイズを指定できませんので、必ず自分で幅と高さを入力してください。

PowerPointでは、「スライドのサイズ指定(S):」で用紙サイズを指定すると、
A4では左右に9.75mmずつ、上下に10.915mmずつ A3では左右に15.15mmずつ、上下に32.2mmずつ
余白をとった状態のサイズが指定されます。「用紙サイズの比率」と比べ、A4の場合は縦長、A3の場合は横長のデータが完成するのです。そのため、例えばPDFに保存して拡大印刷でフチなし印刷を試みると、
A4では左右にすき間ができるか、上下が欠けるか、横に太った A3では上下にすき間ができるか、左右が欠けるか、縦に伸びた
印刷になってしまいます。

PowerPointで用紙サイズを正しく設定してデータを作ったとき、プリンターの設定をどのように調整しても思った通りにならないのは、印刷の設定を誤っているのではなくPowerPointの用紙設定が間違っているというか、PowerPointの用紙設定に問題があるからなのです。
ネット上で「フチなし印刷ができない」などと検索しても、プリンターの設定をしてくださいと言う情報ばかり出てきますが、実際に直すべきは用紙設定ですので注意してくださいね。

用紙・余白の設定が終わったら、あとはデータを作成して印刷

Wordでは[デザイン]タブの「ページの色」、PowerPointでは[デザイン]タブの「背景の書式設定」で背景色を設定し、図形や文字を追加してデータを製作します。

データが完成したら、「ファイル」タブの「印刷」で「プリンターのプロパティ」をクリックし、プリンター側でも「フチなし」での印刷設定を行ってから「印刷」します。
プリンターのプロパティのどこかに「フチなし」「フチなし印刷」「四辺フチなし印刷」「フチなし全面印刷」などの名称の設定項目があると思います。フチなしを選択できたら、「OK」をクリックし、印刷しましょう。

A2以上のサイズなど、大判の印刷をする場合は、一度「Adobe PDFとして保存」し、Adobe Reader / Acrobat Proで印刷したすることを推奨します。大判印刷用のプリンタドライバーとの相性のため、Wordなどから直接印刷した場合に想定通りに印刷されない場合があります。
また、手間はかかりますが大判印刷可能なプリンターがない場合に、A4やA3サイズで印刷し、のりしろを貼り合わせて大きな印刷物を作ることも可能です。

PDFに変換して保存する場合、[ファイル]タブをクリック後に「コピーを保存」を選び保存するファイルの種類として「PDF (*.pdf)」を選んでも、「Adobe PDF として保存」を選びPDFを保存しても、同じPDF変換エンジンで変換されますので結果は変わりません。
ただし、「印刷」を選び「プリンター」としてPDFに変換するものを選ぶ場合、選択肢によってはAdobe以外のメーカーが提供するエンジンで変換される場合があり、変換結果が変わる場合がありますので注意してください。

まとめ

  • プリンターがフチなし印刷に対応しているか確認することを忘れずに
    一部のインクジェットプリンターやほとんどのレーザープリンターではフチなし印刷ができません
  • Excelはフチなし印刷用のデータ製作に向きません
  • 余白を0にするのを忘れずに
  • PowerPointでデータ製作する場合は用紙サイズを自分で入力しましょう
    Wordは用紙選択すればOKです
  • 大判印刷用のデータはA3やA4の用紙設定でデータを製作し、PDF形式のファイルに変換してから Adobe Reader / Acrobat Pro で拡大印刷をしましょう
  • 印刷前に「フチなし印刷」ができるようにプリンターの設定を変更しましょう

せばねぇ!

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