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ドットエイト机上研究所

ストーマ袋からの排出について考え直す

ストーマ袋からの排出後は、排出口だけをふき取ることが推奨されています。
ストーマ造設時に受け取った冊子で、排出口だけをふき取ることはしっかり勉強していたはずでしたが、そこから1年半経過した現在、筆者はトイレットペーパーを捩ってスティック状にしたものを準備し、ストーマ袋の奥の方をふき取ってしまっていました。

一見、何の問題もない行為にも思えますが、
・デリケートなストーマをトイレットペーパーで傷つけてしまっている(軽く出血したこともあり)
・必要以上にストーマ袋をこすってしまい、ストーマ袋の劣化を促進してしまっている
・ふき取り時に排泄口を大きく開いてしまうことで、排泄口の密閉性を落としてしまっている
・ふき取りを強く意識してしまい、面板保護剤に余計な力をかけて剥してしまっている可能性がある
など、逆にデメリットとなってしまっていたようです。

ストーマ袋の奥の方を「どの範囲まで、どの程度ふき取るのか」については、以前担当してくださったWOCナースさんが「メーカーは拭き上げる必要はないと言っているが、患者はきれいにしたいと思うはず。袋の奥の方、ストーマ付近は患者が納得する程度にキレイすればよいが、やっても軽め。やらなくても良いと思う」と教えてくれました。

よく考えてみると、ストーマには肛門のように「我慢する仕組み」が無いため、あらゆるタイミングで老廃物の排出が始まります。たとえきれいに拭き上げたとしても、その直後に排出が始まってしまうことも、珍しいことではありません。
そう考えると、ストーマ袋の奥までふき取ることはしないほうが良いのではないかと思います。


この記事を起こすにあたり、ストーマ袋の奥の方までふき取ることをやめてみました。
慣れるまで、「拭き取らなくて大丈夫かなぁ」という漠然とした不安はありましたが、奥の方まできれいにしないことが原因で「においが発生したりする」ことはありませんでした。
奥の方までふき取るためには、トイレットペーパーも大量に使ってしまいます。手間も時間もコストもかかりますので、「奥の方は拭き取らない」ということに慣れたほうが良いと、改めて考えなおしました。

袋の奥の方がどうしても気になる場合は、消臭潤滑剤の使用を考えたほうが良いと思います。
ストーマ袋に便が付着しにくくなりストーマ袋からの排出も楽になりますし、消臭成分によりにおいを元から消臭してくれますので。


なお、排出口が閉鎖しやすくなりますので、排出口付近はきれいに拭きとりましょう。
袋の外側に付着してしまうと、臭いの原因になります。
ふき取り時に無理に力をかけてしまうと排出口の密閉性が落ちてしまいますので、優しく、丁寧に、排出口左右の端までふき取るようにしてください。

筆者は、「トイレに流せるタイプの赤ちゃんのおしりふき」を使用してふき取っています。
水分があるためトイレットペーパーよりも拭き取りやすく、袋の入り口付近に付着してしまった排出物を(トイレットペーパーより)簡単にきれいにすることができます。
「トイレに流せるタイプの赤ちゃんのおしりふき」でふき取った後は排泄口に水分が残ってますので、改めて乾いたトイレットペーパーでふき取りましょう。

また、ストーマ袋の中は「絶対に洗わない」ようにしてください。洗ったときの水分がストーマ袋の外側に付着し、臭いの原因になります。また、ストーマ袋の劣化が早まり、漏れの原因にもなります。