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ドットエイト机上研究所

標準治療とは

私は2024年5月23日(木)に、直腸がんの標準治療の終了を宣言されましたが、そもそも「標準治療」って何なのでしょうか。


標準治療は「最高の治療」に代わる治療法ではない

英語で「standard of care」「standard therapy」などと表現する標準治療は本来、最善治療と表現したほうが良い治療法で、

その時点で、最善の効果を得られることが科学的に確認されている治療法

のことを指します。

「標準」という言葉の持つニュアンスのため、わさらに上の治療法があるのではないか」という印象を持ってしまうと思いますが、元となっている「standard therapy」の「standard」には、日本語の「標準」よりもう少し強いニュアンスがあり、「(すべての患者が)標準的に受けるべき治療」というのが正しいようです。

標準治療の治療法とは

手術、放射線治療、抗がん剤による治療、免疫療法など、さまざまな治療を組み合わせて確立された治治療法のことです。
組み合わせは1つではなく、がんの種類、進行度、患者の状態によって「適用出来る/出来ない」「適する/適さない」などがあり、治療法は何万通りもあるとのことです。

治療法は、優れたものが新たに開発されると入れ替わったり追加されていきます。そのため、「常に治療法は変化する」と考えるのが正しいです。
私の治療中も、新たな薬が承認され治療法が追加され、治療法が追加になった経験をしております。
(ちなみに承認翌日にその治療を受けたので、少なくも秋田では最初の事例で、多分東北でも最初ではないかとのことでした)

「全ての病院でまったく同内容の最新の治療法が受けられる」かということについて、一個人で把握することはさすがにできませんが、転居のために四国から秋田へ転院した経験や、前述の新規承認薬に関する体験や共有された情報などから考えると、がん治療の専門病院で、がん治療を専門にしている医師から受けられる標準治療には「ほぼ地域差は無い」と考えてよいと思います。

標準治療は基本的に世界共通である

薬剤の一部が許可されない、医療保険制度の違い、医療施設の違いなどがあるため、「標準治療は日本独自の治療法」のような感覚を持つ人もいるかもしれません。
治療を始めたころの標準治療に対する私の印象も、「日本独自の治療法」というものでした。

海外と日本間の承認時期の差(ドラッグ・ラグ)が「全くない」ということはあり得ませんので、他の国と全く同じ時期に全く同じ治療が受けられるという訳ではなく、日本の治療が遅れるケースもあるようです。

しかし、「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構【ドラッグ・ラグの試算について】(https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/p-drugs/0013.html)」によると、令和4年のドラッグ・ラグは0.4年となっております。
そのため、保険適用される日本の治療は、基本的に「standard therapy」と一緒であると考えて間違いないようです。

標準治療が治療の全てではないが、科学的に見て「効果あり」と言える治療法が標準治療である

まとめると、標準治療とは「世界的にも効果があると認められた、すべてのがん患者が標準的に受けるべき、日本では保険適用される治療」と言えます。

私は、「標準治療が治療法の全てである」とまでは思いません。
保険適用されない、まだ効果が検証されている段階の治療の中にその人のがんが寛解してしまう治療法があるかもしれませんし、東洋医学や漢方薬が効果を発揮する可能性も考えられます。
しかし、科学的に確認されている、効果を得られる可能性が高い治療法が標準治療であることは、間違いないでしょう。はじめから可能性の低い治療を受けるのではなく、まずは標準治療をうけるのがセオリーであるのは間違いないと考えます。


ここでは、標準治療について確認してきました。
続いて、標準治療が終了してしまったときにどう考えるべきなのか、私が思ったことを紹介していきます。